第24週「ツチトリモチ」120話
119回でシークレットゲストか知らんが、急に現れた中川大志くんこと永守徹氏。
「植物標本10満点の保管、そして、植物図鑑発刊のための出版費用、この永守家がご支援申し上げたいと思っています」
いやいや、版元が向こうからやってきてめっちゃ棚ぼた展開やないかーーい!ってツッコんだら、万太郎がご辞退するオチだった。いや、それはそれでなんだかなという感じなんだけど…。いや、正確にはご辞退ではないのか?
冒頭の申し出について永守徹氏は「叔父の意思を継いだまで」だと言う。徹は養子として引き取られ、現在は当主。莫大な資産を受け継いだ身。彼の叔父は、この国が世界に引けを取らない文明国になることを願い、尽力してきたんだそう。叔父の意思を継ぐ責任があります(キリリ)ってことなんだけど、その叔父さまをこちらは知らないので、ハイそうですかという感じ。
「図鑑に必要なら出版社も、標本に必要なら博物館も建てましょう」すんごい太いパトロンきたぜ、オイ! 「そ、そこまでは…」と元ボンボンの万ちゃんも引いているよw
西洋では博物館や美術館で、秀でた芸術品を資産家たちが保護して国外に流出するのを防いでいる。自分も標本の散逸を防ぎたいと力説する徹坊ちゃん。
版元を探せと万太郎に言い続け、新しい印刷機を喉から手が出るほど欲しがっていた寿恵子だが「あまりにも大きなお話すぎて…」となんだか弱腰。そりゃ、実際はそういう感情になるのはわかけど、渋谷に店を出して直ぐに繁盛している風のファンタジーを見せておいて、ここにきてリアル反応とはこれ如何に。
あれほど2人の夢だと強調してきた図鑑の完成が叶うも同然。しかも標本も保管してくれると言ってくれるパトロンに、なぜそんなに弱腰に? 私が見てきた寿恵子なら、ここで弱腰になるかしらん…。
「人の命には限りがありますから。私も憂いのないうちに、叔父の意思を形にしておきたい」。徹坊ちゃんは陸軍に行く予定だと。資産家故、それなりのお金を積めば1年志願兵として兵役が短くなり将校になる道もある。けれど、「そのようなことに金を使うよりも、叔父が喜ぶことを」ということらしい。しかも、叔父さんは庭いじりが好きだったそうで、なんか、条件がそろいすぎていて取ってつけた感がすごいね(褒めてません)。
だってさ。で、永守の叔父さんあなた一体だれなんです?って感じなんだよ正直。知らん人の話をダラダラと聞かされることほどつまらんものはありませんね。
私も花咲く庭で、誰もが楽しむそんな世が望みですから。先生のご支援は、私にとっても生きた証になります。
そんな理由で、万太郎の支援をしたいという徹坊ちゃん。リアルで考えれば、永守家の叔母さん当たりが陸軍に然るべき金を収めて、兵役を短くするなり、危険な任務は避けるなどの処置がとられて無事に兵役を終えるような気もしますが、それを言ったらおしまいですね、そうですね。
万太郎は「兵隊に行かれるのであれば、私は待ちます」と。
貴方様のお申し出、本当に勇気づけられました。貴方様がお戻りになられるまで、私は図鑑の準備を懸命に進めちょきます。植物標本も、散逸せんよう守り抜きます。とこちらもキリリとお返事する、元お坊ちゃん。
お話としてはとってもキレイに収まりましたね、という感じでしょうか。
もう今後、図鑑作りに悩む万太郎の画なんて見せないで欲しい。こんなにありがたい申し出を受けずに、数年後にまた「この図鑑、愛されるかな。不安だよん」とか寝ぼけたこと言い出したら、ちゃんちゃらおかしくて、泣くに泣けないわよ。
よかったのは、逸馬が言った「先を照らす約束があるのはえいのう」のセリフくらいかな。彼はおそらく余命わずかなのでしょう。だからこそ、未来の約束に心を打たれたのだろうと思います。
さよならを描くのは悪いことじゃないけども。
次の植物採集には、熊野に行くと万太郎。「南方熊楠さんのところじゃ」←ということで、今週は描かれませんでしたが、来週には帝大をクビになるんでしょうかね。
そんな熊野の旅の様子は見られません。もうお馴染みですが、これ、なんとか映像の工夫をして、半年を通して植物採集をする万太郎の画を撮れなかったかねぇ。まぁ、ちょっとコミカル寄りになってしまうけど、イラストの地図の上(寿恵子が描いた渋谷の地図のようなもの)に、小さな万太郎が植物を抱えて飛び回る画でもあれば、全国各地の草花を求めて飛び回っている万太郎の姿を、脳内補正するのに十分役立ったと思うんだけど。
本当にさ、何度も言うけどさ、植物と向き合う万太郎の図を端折って描くことに意味を見出せないのよ、それがたとえ仲間との別れであろうとも。それを見たくないわけじゃないし、大切なシーンであると私も思う。だけど、それは万太郎の世界をきちんと描いてこそなんだよな。
竹雄と綾は、沼津の酒蔵を買い取ったそうな(屋台だけでどんだけ稼いだのよ!?)
醸造の研究をする藤丸もともに移住する。波多野藤丸コンビもいよいよ別離を迎えたわけです。
「僕がいなくて文献読めるの? どうせすぐ助けて波多野って呼びつけるんでしょ」
「呼びつけるかもしれないけどさ」呼びつけるんかーーーいwww
自分で考えて、試し続ける。波多野がそうしてきたように。
学者や研究者はきっとだれもが、見えないゴールに向かって戦っているんだろう。肉眼では見えない世界の精虫を見つけたり、火落ち菌と戦う術を見つけたりすることは、膨大な作業の連続だ。コツコツと地味なことの繰り返しであり、絶望を見ることもあるだろう。
「変わらない」万太郎を孤独だと思ってきたけど、波多野も藤丸も孤独なんだ。その苦しさや痛み、悔しさ、絶望は己で受け止めて前に進むしかない。だからこそ、研究者同士の彼らの絆は強いんだろう。そういうところ、もっともっと見せてもらいたかったなー。どうも田邊が去ってから、お話が散漫になってしまったの残念極まりない。
手を取り合う4人をやるなら…
「お互いに体に気をつけて頑張らんとのう」は竹雄らしいし「ずっと応援しゆうきね」も綾らしい。けど「お義姉さんのお酒で酔っ払うのが今から楽しみ」という寿恵子はなんだかな。ごめんよだって、寿恵子がお酒好きとか知らんもん(苦笑)。ここで手を取り合う4人の姿をやるなら、竹雄と綾が峰屋を畳んだことを報告兼謝罪しに来たときに、4人の結束的なものを描けばよかったのにね。
「ここまでよう歩いてきたのう」という竹雄のセリフもね、万太郎が歩いて歩いて歩いている映像があると、きっと心に響いたかなぁと。「足跡がまた増えたがじゃ」の万太郎も言わずもがな。
和歌山の神社の森で見つけたのは、ツチトリモチ。「珍しい貴重な子」だと万太郎。
年が明けたらその森は伐採されてしまうらしい。ツチトリモチは木に寄生して生きているから、木を切ってしまったら枯れてしまう。「この子は森の守り神」なのに。
「神社の森の植物は一つ残らず書き留めてきた。それを大学に提出する」
勝手に大学に押しかけて通わせてください言うて、今度は自分で出て行きます言うがか。わがままが過ぎるじゃろう。←知ってる!!!
小さい神様が消えていくのを見過ごすより、手を差し伸べるのが万太郎。
「峰屋の若旦那はダメ若じゃったけんど、いつじゃち、強さとやさしさが本気だった。そんな若じゃき、ワシは愛したがじゃ」
ここにあるすべてが証じゃ。
本当のキレイに収まってるなぁとは思う。
ここにあるすべてが万太郎そのもの。竹雄の語りにはすべて同意ですし、なんら誇張もないしそれこそが万太郎だとは思っていますが、「よう歩いて」ここにあるすべてが「足跡」だというなら、歩いて歩いて歩き回る万太郎の映像はマストだったよ、やっぱり!!!!
・キャスト・
作…長田育恵
槙野万太郎…神木隆之介(通称神木きゅん)
槙野寿恵子…浜辺美波
槙野竹雄…志尊 淳
槙野 綾…佐久間由衣
早川逸馬…宮野真守
永守 徹…中川大志
波多野泰久…前原 滉
藤丸次郎…前原瑞樹
山元虎鉄…濱田龍臣
槙野千歳…遠藤さくら
槙野百喜…松岡広大
槙野大喜…木村風太
槙野千鶴…横山芽生
語り…宮崎あおい
主題歌…「愛の花」あいみょん
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