第24週「ツチトリモチ」118・119話
うーん。なんとなくここ最近、らんまんの世界に乗れない。心が動かない。
だから、とりあえず、118・119回で描かれた万太郎の世界を羅列してみる。
まずは118回。
・天文の論文を読む ・野宮さんから手紙が届く
・夜明けから隅田川沿いを歩いて植物採集
・大学で植物標本作業 ・学生に小馬鹿にされる
・教授に手紙を届ける(まだこの仕事しとったんか!)
・徳永から熊楠に深入りするなと念押しされる
この中の出来事で惹かれたシーンは、万太郎のことを小馬鹿にする学生たちとのやり取りかな。万太郎は、植物分類学が学生たちから目も向けられないこと、引いては自分も下に見られているだろうことを感じている。
けれど万太郎は「変わらない」。彼の周囲の人々も万太郎が「変わらない」ことを求めている。それは決してラクではないことを、万太郎を見ていたらわかる。そして、きっと孤独であることも。それでも変わらずに「ワシの植物学」に邁進する姿、その原動力となるものを朝ドラでは見たいのだけど、あんまりそこは掘り下げられないまま終わりそうだな。ただ草花が好き、それだけでもいいのだけどね。ドラマではなんだか壮大なゴールに向かってそうで、なんだかな。
万太郎が寿恵子に「闇夜に恒星が現れた」と語るシーンで感じた違和感も記しておく。
恒星は、自分で熱や光を出して輝いている星。
「ワシが目指すのはそういうところじゃ。植物に自ら熱を発してくださる方がこじゃんと増えたら、ワシの図鑑もお役に立ててもらえる」←図鑑を出すのが夢だった人が、その前に草花を愛でる世界を求めるようになったってこと? うーーーん、なんか万太郎ってそんなことを考える人だろうか。万太郎の図鑑を手にすることで、草花を好きになる人は増えると思うけど、自ら熱を発するという表現には、図鑑発行前にまずは植物を愛する人が増える世界を望んでいることを意味してる?(どうもうまく解釈できませんでした)
日本中の植物が載った図鑑を作るということだけでも自己満足まっしぐらだったけど(それ自体は否定してないしなんならその夢に向かって突き進む万太郎だけ見ていたいくらいなのに)、それを世間がどう受け取るかまで己の望みどおりになるよう夢見るようになるんて。なんか、傲慢極まりないな。ま、そういう人ではあったけど…。(田邊も大窪も言うておる)
「槙野先生はやっぱりすごい!」そう言われたいんだろうか。
119回
・神社合祀に反対する熊楠とは決して関わるなと徳永
・次の植物採集地として熊野に行っていいかと打診 ・今は満州だと諭される
・国のためではなく植物学のための研究をすべきだと訴える
・徳永から寿恵子の商売が大学本部で問題になっていると告げられる
・だからもう目立つなと釘を刺される
帰宅した万太郎は正気のない顔で野宮からの手紙を読み返す。「すべてが喪われる前に君に勝手な願いを託します」
万太郎はようやく、衝動のままに荷造りを始める。けれどそこに百喜が帰宅。千歳千鶴コンビと「お父ちゃん」の話を始めてしまう。(時代が時代だけに仕方ないけど、息子は外で働き、娘っ子ズは家事手伝いという絵面がツラい。らんまんはとくに令和的にコーティングされたドラマだから余計に)
百喜曰く、役所に理科の先生が訪れ、万太郎に教科書を書いて欲しいと頼まれたのだとか。「東京帝国大学のお墨付きが欲しいんだって」その言葉で荷造りの手を止める万太郎。
徳永の「深入りするんじゃない」の回想が入り、再び百喜のセリフが続く。
身分は助手だと話したらびっくりしてたよ。有名だからそうは思わなかったって。
たしかに、お父ちゃん講演会も呼ばれるもんね。助手なのに目立ち過ぎてるもんね。
いやちょっと、講演会とかやっているならそっちを見せてよぉというのがまず上記の感想でっす。だって、植物学界隈で万太郎が目立っているなんてちっとも! そんなこんなで、我に返る万太郎。帝大助手の身分を少しはわきまえた万太郎くんということでせうか。
場面は渋谷の待合茶屋へ
寿恵子が営む「やまもも」に訪れたのは、昔懐かし早川逸馬(なんでこの人!? という疑問はありますが、終盤のお約束としてスルーしておきます)
草花の話と自由民権運動の主張とが見事にリンクした回は、お見事でしたよねぇ。若正宗こと相島と製作陣の期待どおり、ヤマモモに反応する早川(久々のベタ展開w)
皿鉢(さわち)料理→姉夫婦が作ってくれた→昔は土佐で酒蔵をしていた、という話の流れを作っておき、当主からの質問を提示。
あなたが人生で一つだけ選ぶものは何か。
この質問に関して「私の夫であれば迷わず草花と答える」と寿恵子。「この世に雑草という草はない。どんな植物にも名前がある」。逸馬が夫の名を尋ねるのに無理のない流れ、こういうところは本当にうまいですね。
万太郎の前に現れた逸馬の第一声が「ワシじゃ。早川逸馬じゃ!」というのもらんまんらしくてよき。泣いて逸馬に抱きつく万太郎はまるで子どものよう。ま、この人はずっと周囲から守られていたし、そういう立ち位置のほうが生き生きしてるの、本当根っからの坊々って感じよね。距離を近くして付き合うのは大変そうだww
自由民権運動「声明社」のリーダーだった逸馬は、令状違反で逮捕され監獄。あれからどう生きてきたのかは明かされないが、今は代議士なのだとか。それはもう、いろいろあったんでしょう。「あれからのう、おまんが隣におったらと思うこともあったき」
おまんがおったら愉快で。←同意
きっとなんじゃちできちょった。←それは言い過ぎ!
風に乗る2匹の龍のように。←長田さんっぽ。
だれもが己のまま生きていく世の中を夢見たけんど、また、戦いの世にたってしもた。←万太郎の生きる世界を中心に見たいけれど、いわゆるこの時代の世の中の描写が圧倒的に少ないので、戦いの世と言われてもピンとこないのも残念。台湾植物採集あたりからずっと、映像が足りなすぎる。
自由とは己の理を奪い合うとじゃない。奪われた側は痛みを忘れない。憎しみが憎しみを生む。行き着くとこまで行くしかなくなる。
野宮さんが万太郎に託したこと。徳永の思い。そして、逸馬におまんこそが自由だと言われた万太郎。ようやく「今はわからなくなっている」と、心の内を聞けたのもよかった。
今は大学の身分があるからどこに行っても信用してもらえる。心が騒ぎゆうがです。
身分は大事か。←そりゃ多少はね。
ワシは信用したがじゃ。たとえ、おまんが誰じゃち。その目だけで十分だったき。
そしてまた場面が変わって待合茶屋「やまもも」。
中川大志くんが座ってる!?!?「こちらがワシが代理人を務める、永守家の当主、永守徹さんじゃ」←なんていうか急だなぁ。もう少し精査をしてくれるともっと見やすくなると思うんだけどな…。たとえば、相島が寿恵子に店を貸し切りたいというシーンなんてカットでいいやろ。その代わりに、逸馬と話す永守の姿を映して彼がどういう人物かもう少し見せておいてくれてもよかったんじゃない? 中川くんがシークレットゲストだったとしても! いや背中越しとかさ、いくらでも撮れるんじゃね?
植物標本10満点の保管、そして、植物図鑑発刊のための出版費用、この永守家がご支援申し上げたいと思っています。
え!?!?!?!?
版元がネギ背負ってやってきたで。なにこの棚ぼた展開!?!?!?
・キャスト・
作…長田育恵
槙野万太郎…神木隆之介(通称神木きゅん)
槙野寿恵子…浜辺美波
早川逸馬…宮野真守
永守 徹…中川大志
野宮朔太郎…亀田佳明
相島圭一…森岡 龍
槙野千歳…遠藤さくら
槙野百喜…松岡広大
槙野千鶴…横山芽生
徳永政市…田中哲司
語り…宮崎あおい
主題歌…「愛の花」あいみょん
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