第19週「ヤッコソウ」91・92話
91話
前話で、万太郎作のヒメスミレの絵を、寿恵子とお焚き上げをして静かに園ちゃんを見送った2人。ドラマとしてはそこでひと区切り付いたとして、週明けに少し前を向いている2人が見られるかと思ったけれど、甘かった!!!
端午の節句を祝ってもらうケン坊の「万兄ちゃんに見せてくる!」は、幼い子どもの無邪気さで時に人を傷つける様を表しているし、それは今まで万太郎が田邊にしていたことでもあるんかなぁ(なんて思ってしまった)
「ダメよ。今はダメなの」。子どもを授かることも、無事に出産することも、生まれた子どもが健康で元気に育っていくことも、当たり前のことじゃない。朝から重くてつらいシーンでした。
それでも、まつさんがずっと笑顔で家事一切を引き受けてくれていることに救われる。
どんなにつらいときでもおなかはすく。それを「おなかの子も欲しがっているんだよ」と言われたら、少し気持ちがラクになるかもしれないねぇ。「今は時薬しかねえだろうが」と卵を差し入れてくれる隼人も隼人らしくてええねぇ。
夜中、園子の泣き声が聞こえたと外を彷徨う寿恵子。
「麻疹にかかっても助かる子はいます。私が園ちゃんを月足らずで産んだせいです」
「いや、ワシが身重の寿恵ちゃんを置いて、植物採集へ…」
当たり前だけど、どちらのせいでもない。けれど、お互いの後悔の念を吐き出せたのはよかったのだろうと思う。言葉にすることで、お互いの痛みに気付くことができる。気付くことができれば、これからも支え合うことができるから。
いつの日か、ワシらは園ちゃんに会いに行く。そのときに、図鑑を持っていけるように、精一杯、頑張るき。園ちゃんが喜んでくれるような図鑑を、一緒に。
少し前を向けた2人を、そっと見守るおまつの姿がまたよかったです。この距離感を保つのって、とても難しいとこと。ずっと気丈に振る舞っていたまつも、心底ホッとしたことでしょう。
寿恵子のために、万太郎がかる焼きを作ってくれたのもよかったな。
「この子も欲しがっているみたい」。うん、これからたくさん栄養を付けてね、寿恵子。
92話
6月、寿恵子は第二子を出産しました。長寿を願い、千歳と名付けました。
「よう、生まれてきてくれたの。初めまして」赤ちゃんの誕生に、ぴったりの言葉を送る万太郎。そしてその1カ月後、まつが文太の元へ帰って行きました。「とにかく、体だけは大事になさいね」親も子も、いつだって願うことはお互いの健康なんだよね。
万太郎の元に、マキシモヴィッチ博士の奥様からお手紙が届きました。ここは史実を知っていたのでとくに驚かなかったけれど、「筆跡が違う」という万太郎には驚いちゃったな。筆跡の違いがわかる漢、万太郎!
「肺炎でお亡くなりになったそうじゃ。いっぺんでええ、お会いしたかったのう」←って、会うだけじゃなく君は研究がしたかったんでしょって思っちゃったんだけど、万太郎は会えさえすれば博士から気に入られることがわかっているんだよなぁ。生まれながらの人たらしだから!
「これからどうなさるんです?」
「やるべきことをする。それしかない。博士もそう言うてくれゆう」
まずやるべきこととして、万太郎は標本に付ける名札を作った。
「どこにも属さんでもワシは続けることは続ける」
一属一種ゆう植物もあるき。ワシ一人でもやる。ワシのcollectionを作ったらえい。
「土佐植物目録と、標本を500点を大学に寄贈しなさい」回想の田邊。ユーシー、お久しぶりな気がするよ!!!! 万太郎が集めた500点の標本は、名札を付けて大学に寄贈する。そのため「どうせ名札を付けて寄贈するがやったら、槙野collectionとして恥ずかしゅうないもんにする」と言う万太郎。土佐植物目録は控えをとればえいとして、「名前を書き写すがは、いちいち植物の顔が浮かんで楽しいきの」だそう。
いやなんていうか、どっちも金にならない仕事なのがめっちゃ気になっちゃったんだけど!?!?
寿恵子は、「また一から始めればいい」と言っていたけど、生活費、マジでどうしているやら……。万太郎のよさだけでなく小狡いところを引き出してくれる田邊のようなキャラがいないと、劇中でとりわけ強調されているわけじゃないのに、万太郎のダメさが目についてしまうなぁ。
そして、竹雄と綾が長屋にやって来たよ! 久しぶりに見るスーツ姿の竹雄、ヤバない? カッコ良すぎるて!!!! ケン坊を筆頭に、「竹兄ちゃん!」「竹ちゃん!」と長屋の皆さんが出てきてくれるの、あったかくてうれしいねぇ(丈之助、厠から出てきたかい?)
園子の位牌に手を合わせ、千歳を産んでくれたことへの感謝を伝える竹雄と綾。そして、峰屋ののれんを下ろしたことを報告する綾。
「万太郎、申し訳ありません。酒が火落ちしました。私が新しい酒を作ったき、峰の月まで日落ちさせて…」
「のれんを預かりながら、この不始末、申し訳ありませんでした」
「峰屋を守り切らんと、申し訳ありませんでした」
うーむむむ。正直なところ、綾と竹雄が謝りすぎでは? と思っちゃったな。
「ワシが…ワシが…」と万太郎にも言わせていたけど、「峰屋を財布代わりにしたせい」とも、「幼少期から好き勝手に金を使わせてもらったから」とも言わせないのに「おまんのせいじゃない」と竹雄に言わせるところ、どうも引っ掛かってしまったな。万太郎に1ミリも非がないことにするには、ドラマ的にもちょっと無理があると思う。万太郎が金に関して無頓着であることはずっと描いてきたわけだから…。
どうしても史実がチラついてしまうからか、綾と竹雄の謝罪には「研究費を出せなくなってごめんなさい」という意味があり、万太郎も峰屋が潰れたことよりも、今後の研究費のことで頭がいっぱいなのでは? なんて思ってしまう。そのあたりは、セリフで言わせてもよかった気がするけどな。だって万太郎は、いつだって草花バカなところがいいところでありダメなところで、アイデンティティなんだから。
「思いきっり挑んだ。やりたいことをやった。これは、その結果じゃ」
新しいことに挑んで失敗して、その責任を果たしている綾と竹雄。ならばなぜ、そんなに万太郎に謝るのだろうか。やっぱりちょっとバランスが悪いと思う。
銭湯帰りの万太郎と竹雄。田邊教授から東大を追われたこと、標本と植物目録を大学に寄贈する件を聞いた竹雄は、「そこまでにの罪になるがか」と言っていたけれど、ま、部外者が一部だけを聞いたらそういう感想かもね。しかし、竹雄にも自分がなぜ田邊を怒らせたかを万太郎は語らないのだな。
「奪えもんもある。名前。名前はみんなここにある」
大事なのは結局、“名前”なんだねぇ。とにかく世に名前を残したい。学者ってそういうものなのだろうか。
万太郎が植物の道に生きると決め、綾が峰屋を継ぐと決めた日、3人は約束した。
「お互い、今日選んだ道を悔やまんこと」
「うん、悔やまん」
「ほんじゃきお2人は前だけ向いちょってください。後ろはワシがおりますき」
姉ちゃんも竹雄も、約束を守ってくれたからと「ほんじゃきワシも、ダラシない真似はできん。一人でもこの道を行く」。うーーん、妻子にひもじい思いをさせるのはダラシなくないんだろうか。
あ、ヤバいヤバい。いちいち、万太郎のダメなところが目に付くようになってきてしまった。全力でスルーしなければ、本筋が見えにくくなるわ!
・キャスト・
作…長田育恵
槙野万太郎…神木隆之介(通称神木きゅん)
槙野寿恵子…浜辺美波
槙野竹雄…志尊 淳
槙野 綾…佐久間由
倉木隼人…大東駿介
倉木えい…成海璃子
江口りん…安藤玉恵
牛久亭九兵衛…住田 隆
堀井丈之助…山脇辰哉
田邊彰久…要 潤(回想)
阿部まつ…牧瀬里穂
語り…宮崎あおい
主題歌…「愛の花」あいみょん
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