第9週「カカシみたいなワテ」41〜45話
何しか時間が取れず、9週はまとめを。というか振り返りを。
スズ子が梅吉と暮らし始めて1年が経過。昭和15年。
梅吉は、初めこそ映画の脚本執筆に燃えて「カッコ悪いいお父ちゃんは卒業や」と言っていたけど、今や見る影なし。日が暮れるのを待ち、伝蔵の店で飲みに出る毎日になっていた。これはキツイな、本人も周りも。
梅丸歌劇団の元には、丸の内署の輩がやってきて舞台の監督をするという。
「より愛国精神に則った講演を目指し、派手な演目、演出、すべて取りやめる」
我々の音楽をお国のために響かせていくということが大切であると思う。楽器も和名で呼ぶという。←アホに権力持たせるとほんま碌なことせんな!
羽鳥んの掛け声も「スリー、トゥ、ワン、ゼロ」が「さん、にい、いち、はい」になっちゃった(悲)
歌い手スズ子には、三尺四方から出るなというお達しが。
で、もちろん客の反応が悪く、スズ子は決められた枠から飛び出しいつも通りのパフォーマンスを披露する。すると、客からは歓声が上がっているのに、「ピーーー!」と無粋な笛の音。「はい、公演中止!」「えーーーー」←本当にねぇ、ヤダヤダ。
事情聴取を受けるスズ子。同じ日、茨田りつ子も捕まっていた。
茨田は「着飾って何が悪い」と警察に反論。「私はお客様に夢を見させる歌手よ。表舞台に立つものにとって、これは当たり前の格好です」
そして、羽鳥んがもうずっとつらそうなんだよね。大好きな音楽が規制されて、心が疲弊し切っているのが全身で伝わるつよぽんの演技力には恐れ入ります。
どんなときも音楽を楽しむと言う羽鳥んだが、笑顔はずっと寂しげ。
茨田りつ子はどこの会社にも属さず、自分の楽団を抱えている。だからこそ、彼女は自分の意志を簡単には曲げない。
けれど「茨田りつ子は茨田りつ子。福来スズ子は福来スズ子」だと、辛ポンにそう釘を刺されたスズ子は、警察の言うとおり三尺四方から出ずに歌う。けれど、ステージを見に来ていた茨田りつ子には「かかしが歌ってるみたい」だと非難される。
好きにやったら警察に引っ張っていかれるとスズ子は反論するが、「そんな理由でつまんない歌を聞かされる客は気の毒ね」とどこまでも辛辣なりつ子。
そんな重た〜い雰囲気の中、スズ子に弟子入りしたいという小林小夜が登場。
福来スズ子の歌を聴くとつらい気持ちが楽になり、大丈夫だという気持ちになって、涙が出ると言う。
いやはやまたすんごい濃いキャラが登場したわけだけど、この子がまた、梅吉と混ざって大変なことに…。スズ子、ふぁいつ!
梅吉は相変わらず「他にすることない」と毎晩飲み明かす日々。仕事がないのもよくないよねぇ。日が沈むといっそう寂しくなる、その気持ちはわかるぞ。
そんな梅吉に寄り添ってくれたのが小夜。「親に捨てられた」が常套句か?
しかも小夜に「お父ちゃん」呼ばせるとは、梅吉、さすがにあかんラインを超えている。
スズ子はスズ子で梅丸歌劇団のことで頭がいっぱい。←そりゃそうだ!
警察の言う通り行儀よくやっていたら、梅丸歌劇団は解散になるだろう。でもどうすることもできない。けれど敵は警察だけではなかった。「公演を即刻中止せよ!」「お前らは日本人ではない」そんな投書が山のように来ていたのだ。
「我々を縛っているのは、何も警察だけじゃない」
音楽を楽しみたい人たちと、正したい人たちの板挟み。
誰のために何をすればいいのかわからなくなる。
その事実を抱えて帰ってきたら、梅吉と小夜がどんちゃん騒ぎ。そりゃ、スズ子もブチギレるわ。
「出てって」
小夜がどんなに言い訳を並べてもスズ子は「出てって」と繰り返す。
梅吉は「鬼やな」とか言ってもう本当に、誰のせいや思てんねん」ってそれな!
「お父ちゃんは情けない、カッコ悪い。ほんまの役立たずや!」←あ、言い過ぎ。
その通りや。ワシは飲むことと寝ることしか出来へんからのう。
「わかってるんやったらしっかりして。ワテ、お父ちゃんのことばっかり構ってられへんねん。お母ちゃんとは違うんやから」
冷たいの。小夜ちゃんのほうがよっぽど娘みたいやった。
お互い、言い過ぎ。血が繋がりなんてもう乗り越えているんだろうけど、梅吉の発言はスズ子の心の底をえぐっているだろうなぁ。梅吉、甘え過ぎやなぁ。
羽鳥んもツラい。
「貧弱で女々しい」という理由で検閲に引っかかった「湖畔の宿」。
「ひどい世の中になったねぇ」。けれど「蘇州夜曲」は大ヒット。
同じ路線でもう一曲と言われる羽鳥んだが「曲はそう都合よく降ってきたり湧いて来たりするもんじゃない」と。
そういうクリエイターの苦悩に理解を示そうともせず、佐原は「梅丸からは手を引いたほうがいい」とか言う。まったくコイツはいいとこがないな!
喫茶店で「蘇州夜曲」を聴いたスズ子は、羽鳥んに自分にこの曲を歌わせて欲しいと直談判。「あの曲やったらステップ踏まずにお客さんを楽しませることができる思うんです」
けれど羽鳥んは「…ダメだね」。←この間が切なさを際立てせてな。
福来くん、君は心から「蘇州夜曲」が歌いたいわけじゃないだろう。僕には君が警察の指導を避けるためにあの曲を選んだように思えるんだが、違うかい?
せやけど、このままやとお客さんは減る一方。先生も苦労しているじゃないかと反論するが、「楽器が足りないなら他の音で補えばいい。何度でも何度でも僕は楽譜を書き直すよ。何があっても音を出し続けるのが楽団だからね」
「先生、梅丸はどうなってしまうのか」とスズ子が言い終わらないうちに、羽鳥は「ラッパと娘」を弾きだす。
「何をしてるんだい、歌うんだよ。スリートゥワン、ゼロ」←このときの羽鳥んの表情がまた切なすぎてな。
しかし、その日はやって来た
「2年余りの間、多くの観客を楽しませてきた梅丸楽劇団ですが、残念ながら本日を持って解散となります」と辛島は泣きながら報告する。
羽鳥んが「またやろう。いつかまたみんなで集まってさ。誰に文句を言われることなく、存分に楽器を鳴らそうじゃないか」そう楽団の皆に声をかける。
けれど「またなんて軽く言われてもな。羽鳥さんに、ヒラの楽団員の気持ちなんてわかりませんよ」と言われてしまう。
「わかった、じゃあ僕は失礼するよ。お疲れ」そう言うと羽鳥はその場から立ち去る。
言い返す言葉がないんじゃない。羽鳥は音楽で会話をしたいだけなんよね。
で、そんな大変なときに梅吉が捕まる。
喧嘩をしたとのことだが、なぜそんなことをしたのかは話さない梅吉。
警察は「親子そろって、どうしようもないな」とか言ってくる。←顔、覚えとんかキッショ!(あ、スズ子は有名人か…)
梅丸歌劇団の解散から数週間。何もすることがないスズ子。
「あかん、歌い方忘れてまう」そりゃ大変!
林部長からスズ子を大阪に戻すよう言われたと辛ポン。
しかし、大阪も状況は東京と大差なく「今はUSKの演目も愛国もん中心で、これまでとはすっかり変わってしまった」。これでは「大阪に戻っても前のようには歌われへん」。
スズ子は羽鳥んに相談する。
「でも、君は歌うことしかできないうだろう? 東京か大阪なんて問題じゃない。君が楽しめる場所で歌えばいいさ」
みんながみんな、先生みたいに楽しめませんよ。
そうかな、君も一緒だと思ってたけど。
やっぱり羽鳥はすごいと麻里に伝えると「そう見えるだけよ」と麻里。
楽団が傾いてから向こう、食事も喉を通らないぐらい悩んでたわ。ああやって仕事してないと落ち着かないのよ。
そんな羽鳥、スズ子に茨田りつ子の公演チケットを譲る。「あいにく仕事が立て込んでいてね」は、嘘と本当が半分ずつって感じかな。
茨田りつ子のステージを見て感激したスズ子は、講演後、興奮ぎみにりつ子に感想を伝える。
「感動しました!」
りつ子は「簡単に言うわね」と相変わらずのツン。
久しぶりに胸の奥をぐうっと掴まれた言うか。いやほんまによかったです!
当たり前でしょ。こっちは楽団抱えてるのよ。雇われのあなたとは覚悟が違うの。誰に何を言われようと舞台に齧り付いてでも自分の歌を歌うのよ。
自分の歌…
はぁ、ほんとイライラする!←言っちゃったw
あんた歌いたいんじゃないの? なら人の歌に感動なんてしてないで、歌いなさい! こんなご時世、いつ歌えなくなるかわからないのよ。
自分の歌、か。
伝蔵の屋台では今日も梅吉が飲んだくれている。
そこで、先日の喧嘩の経緯を知るスズ子。
酔った客が「福来スズ子がつまらねぇ。広い舞台にボーッと突っ立って、つまらねえ歌をタラタラタラ。ありゃ歌手としては終わりだ」そんなことを言い出したのだ。
そりゃ、梅吉が黙っていられるわけがない。
「お前らみたいなチンピラにスズ子の何がわかるんじゃい!」
スズ子と梅吉は、酒を酌み交わし仲直り。
「これで寂しいん消えるん? お母ちゃんが死んで寂しい気持ち、酔っ払ったら消えるんやろ」
消えへんよ。余計、会いたなるわ
「な〜んや」
飲めば飲むほど、ツヤちゃんに会いたい。めちゃめちゃ叱られたい(Mな梅吉)
「あれは日本一のおなご」「日本一のお母ちんや」←そんな風に父娘に言われて、ツヤは幸せもんやな!
お前の歌、好きやった。聴いてる思うで。お前の歌、聴かせてやれ。
言われんでも聴かせたる。ワテ、歌うわ。
翌日、一井の元を訪れたスズ子は「福来スズ子とその楽団」に一井を誘う。←「茨城りつ子とその楽団」とまんま一緒やんけwww
・キャスト・
作…足立紳 櫻井剛
福来スズ子…趣里
小村チズ…ふせえり
辛島一平…安井順平
伝蔵…坂田 聡
一井…陰山 泰
小林小夜…富田望生
花田六郎…黒崎煌代(回想)
羽鳥善一…草彅 剛
茨田りつ子…菊地凛子
羽鳥麻里…市川実和子
花田ツヤ…水川あさみ(写真)
花田梅吉…柳葉敏郎
他
語り…高瀬耕造アナウンサー
主題歌…「ハッピー☆ブギ」中納良恵 さかいゆう 趣里
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