万太郎の草花愛を震災と絡める必要があったのか問題「らんまん」

らんまんタイトル ドラマ率直感想!

第25週「ムラサキカタバミ」123・124話

123回のアバンは、植物採集をする万太郎の姿。おそらく時間が飛んでいるんだろうと思いつつ、結局、歩いて歩いて歩いて、草花に話しかける万太郎が見られるとホッとするというか、らんまんの原点はこれなんだよなと思うなど。

アバン明け、ドラマ内が大正12年9月1日だと明かされます。
関東大震災が描かれることよりもまず、前回から十年以上経過していることに心が持っていかれてしまったワイ。“朝ドラ終盤の掟”と自分を納得させるには、時間経過が頻繁に起こりすぎてて無理ゲー。ここまでやってしまうと、描きたいコンテンツだけを見せられている感じで、人間ドラマを感じ取るのは難しいです、、、

たとえば、植物採集から帰ってきた万太郎に近所の子どもたちが「草のおじちゃんだー」って言って集まってきていたけど、その交流そのものを私は見たかったんですよね。ちびっ子らにとって草のおじちゃんってどんな存在なのか、近所のお母さん方にはどう受け取れられていたのか、とか。(長屋の住人たちとの交流でそれらは描き済みってことなのかな? だとしても、時代の変化とか描けそうだけど)

孫の虎太郎は、チビ万太郎役の子が無事に転生しましたね(チビ万より成長しとるwwww)
子どもがズンズン成長してだれがだれやら状態で孫まで登場!? ってまぁ、もういいや。そこをツッコムのは野暮かもしれないし。うん。

おもむろに始まる万太郎先生による標本講座&大地震…

標本は湯の中に漬けると、水分を吸って花が開くそう。だから、いつでもどこでもその植物を観察できるし、外国のものとも交換できる。それを「世界中で役に立つことができる」と万太郎。万太郎って、草花バカだけどどこかでそれが役に立つことを望んでいる人なんだな。田邊が「世界に向けて吠えたいんだろう。Here I am! Makino is right here.」という指摘は、万太郎の本質を突いていたんだと思う、やっぱり。

そして、ドラマ内では明日、資産家永守が住む神戸に行く予定のよう。
「印刷所に版元、すべてご提案してくださって」って、結局永守に助けてもらうなら、前回の永守エピソードって必要だったのかな?って思っちゃうし、「やっと図鑑が完成するですね」って寿恵子が言うほどには、こっちは「やっと」な気分になれない…。とはいえ、とにかく図鑑がいよいよできる! というときに大地震が起こってしまうという展開。ドラマ的には正しいのかもしれないけれど、万太郎の草花への思いを描くには不釣り合いな気がしちゃうのが正直な感想です。

もちろん、先日竹雄が「ここにあるすべてが証じゃ」と言っていたとおり、十徳長屋にあるすべては万太郎の人生そのものだ。寿恵子たちに止められても、運べるだけ運び出そうとしてしまうのもわかる。ただこの「わかる」の意味は、気持ちに寄り添えるということではないです。

万太郎の行動はきっと理屈じゃない。命の危険を顧みずに動いてしまうほど大切なものだということは、今まで積み重ねて描いてきたから伝わる、感じ取れる。だからこそ、なぜわざわざ、大地震での万太郎の行動で描くのか、その意図を飲み込めない。124回の冒頭、警官らしき人に火が移るから荷を捨てろと言われて「これは捨てん。この先の世に残すもんじゃ!」と言わせるのもなんだかな。意味はわかるけど、そんなに劇的にせんでも…という気持ち。

万太郎の草花愛を壮大に描き過ぎでは? という違和感

書き手が言いたいことはわかるつもりだ。けれど、起きたトラブルの大きさと、万太郎の植物愛とが不釣り合いな気がしてしまう。言ってしまうと、災害を利用しているような感じ。こういう手法はあると思うけど、らんまんには似つかわしくないと思ってしまう。万太郎の行動原理は今までドラマを見ているから理解できるけど、彼の中の沸き立つ何かを受け取ることが難しい。これは、終盤に来ての駆け足展開と時間経過のやり過ぎによるものだと思う。

124回のアバン明け。根津から渋谷に辿り着いた万太郎たちは、佐太郎に再開。
「渋谷は無事だったんですね!」「山桃も無事だぞ!」。渋谷も山桃も、そんなに思い入れがないから(ドラマ内での話です)「!」を使って盛り上げているなってお気持ちになる。

標本の中身をあらためた万太郎が「ワシ、もういっぺん戻る」と言うのも、判断が難しい。「あの標本がない!」と思っての行動なら何事にも優劣をつけない万太郎らしくないし、救い出せなかった標本たちを思うといてもたってもいられない、ということなら万太郎らしい?

地震から4日目には百喜と大喜とも再会(どうでもいいけど、百喜の中の人の声めっちゃ渋いですね)。2人から震災後の市内の様子が語られる。「市内はめちゃくちゃです」と。そして、役所勤めの百喜といつの間にか新聞社に勤めていた大喜はすぐに会社に戻ると言う。火事は収まったが「市内はもっとひどいことになっている」からと。

「自警団とか言い出しやがって。そんな奴らが市内のあちこちに湧き出している」から「まるで戦場」だと。そんな物騒な話を聞いていたのか聞いてないのか、とにかく火がおさまっているなら根津に戻ると言う万ちゃん。←こういう狂気をもっとヒューチャーして欲しかった。

もう人間がおかしくなってんだ。植物どころじゃないんだよ!←これもさ、大喜がどういう気持ちで言っているのかわからないだよね。だって、草花バカの万太郎を大喜がどう思っていたかなんて、描かれてないからね(時間経過の弊害です)。これ、父親の気持ちは痛いほどわかるんだけど…でも命の危険があるところには行って欲しくないという、めちゃくちゃしんどい息子の心境が伝わってくるとグッときたかもしれない。

息子2人が会社に戻った隙になのかなんなのか、結局、根津に戻ってくる万太郎。そこで虎鉄とも再会。大畑印刷所の大将も無事だという。そして2人で、長屋に残っているものを探し始める。
そこに、ムラサキカタバミが咲いていた。というのはらんまんらしい。
「すごい生命力ですね」
「うん。株が一つでも残ちょったら、すぐに子株を増やせる」
「ここにまた、花が咲きますろうか」
「うん。何があったち、必ず季節は巡る。生きて、根を張ちゅう限り、花はまた咲く」

最後に寿恵子の話をちょこっと。
万太郎を見送るときに「私がこの店を始めたのも、2人の夢を叶えるためです」と言っていて、「40年間2人で頑張ってきたんです。私もいつじゃち、同じ気持ちですから」と。

心はまったく動かなかったけれど、2人で同じ夢を追い求めて頑張ってきたことを、きちんとセリフで残しておくのは大事かなと思いました。きっと、最終週に効いてくるんだと思います!(そういう見方、間違ってるって知ってるよ!)

なんでだ。なんでこうなったんだ!?!?

・キャスト・
作…長田育恵
槙野万太郎…神木隆之介(通称神木きゅん)
槙野寿恵子…浜辺美波
山元虎鉄…濱田龍臣
荒谷佐太郎…芹澤興人
山元千歳…遠藤さくら
槙野百喜…松岡広大
槙野大喜…木村風太
槙野千鶴…本田望結
山元虎太郎…森 優理斗
大畑義平…奥田瑛二
語り…宮崎あおい
主題歌…「愛の花」あいみょん

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