この素晴らしき世界 最終回
公式HPによると、主婦の浜岡妙子が、ある日を界に大女優・若菜絹代となりすまして生活する“なりすましコメディー”作品だとあるけれど、“なりすましコメディー”だとなりすまして、芸能界の闇をぶった斬る、社会派コメディー(そんなジャンルあるか知らんけど)でしたね。
この最終回を見て、多くの人があの事務所を思い浮かべたのはなかろうか。
若菜絹代が妙子に託した手紙は、今だからこそ、めちゃくちゃに響いた言葉の連続でした。
私も脳裏に焼き付けたいので、書き起こしてみます。
「私は幼少期から自分の人生を決める権利を奪われていました。幼少期から自分が何者なのか決める権利を奪われていることに気付くことさえ、許されなかったのです。そのことにやっと気付き、私はこの世界から逃げようと思いました」←女優の若菜絹代が逃走したことで、浜岡妙子が絹代になりすますドラマがスタート。臨時のお仕事はなんと日給300万!?!?(口止め料込みでガス)
だけど戻ってきた。それは「逃げるだけでは解決しないことに、気付いたから」。自分の人生の選択肢を奪われるようなことは、自分たちの時代でとっくに終わったことだと思っていた。でも違った。今でも若い人たちの人生の選択を奪われていて、彼らはそのことで悩み続けている。
若菜絹代という人物の人生は、一人の男性によって創り上げらたもの。「若菜絹代の成功とともに、その人物も大きな力を手に入れた」←ここ、若菜絹代を別の名称に置き換えなかった人おる!?
「その権力を維持するために、結果として多くの人を傷つけ自由を迫害し、さまざまな悪事に手を染めることとなった。若菜絹代の地位と名声は、その不正な力で創り上げられ、不正な金で買われたものとなりました」
若菜絹代は国東を恨んではいないという。ただ、この事実は明らかにされるべきだと。
「こういう間違った歴史が引き継がれていくことのないように、私は、この世界を元に戻すために、私自身の手で私の人生を一度壊してしまう必要がある」
ドラマで描かれたスキャンダルは、女性タレントがドラッグ過剰摂取で死亡した事件。当時は事故死と報道されたが、実際は帝都テレビのディレクターが薬を強要し死亡させたという。さらにその事実を、所属事務所と国東が結託して徹底的に隠蔽した。そしてそのディレクターは今でも薬を使って、女性たちに悪事を働いている。犯罪者野放し状態!!
ってこれ、どう見てもどう読んでも思い浮かべるのはあの事務所しかないじゃん! この内容を、日和らずに放送してくれたことが素晴らしきかな。(もしかして存命だったら放送できなかったかも? 闇は深いぜ!)
ここからは妙子の言葉です。若菜絹代の手紙をベースに、妙子の気持ちも言葉にしたのかなと予想。
「私たち大人は、この世界に生きる若い人たちが希望を失わないように、この世界に絶望しないように、できる限りのことをしなくてはなりません。何もせずに、この世界を引き渡していくような無責任を、キッパリと否定しなくてはいけません。この世界には、悪意のある人間が存在します」
「だけど、私たちの問題は、多くの人たちがそれに気付いているのに、実際には何も変えられないことのほうだと思うのです。正しさが口をつぐみ、良心が言葉を飲み込んでしまってきたこと、私たち一人一人の個人と世界の間にある得体の知れない何か。人間関係、職場、社会、学校、規則。ときにそれは、友人や家族なのかも知れない」
「得体の知れないものに気を取られて、若い人たちがこの世界の本当の姿を見ることができなくなっていることは、それは不幸なこと。そういうよくわからない何かに、自分を合わせていく必要なんてないんです。人は、だれでも自分の人生を選択する権利を持っています。その権利を奪うことは、たとえそれが親であっても許されない。そうでなければ、その人はその人の人生を生きたとは言えない」
「別れ道に差し掛かったときに、どちらの道が正しいのか、その答えはだれにもわからない。だから、自分で決めなくてはいけないのです。自分で必死に考えて、自分の直感を信じて、自分自身で答えを決めて歩き出さなければいけないのです」
「時に間違いを犯すこともあるでしょう。そのときも逃げ出さずに向き合って、責任を背負って、自分の足で進むことが大切なんです。自分で後悔して、自分で苦しんで、自分で喜び涙して、生きていくべきなんです。そうやって生きてきた人だけが、そうやって生きた人だけが、本当に気付くことができる。本当の心で感じることができる。そして、いつかきっと、だれもが同じ思いになることができたら、どんなにか良いでしょう」
この世界は、本当に素晴らしいのだと。
ドラマの長台詞って、まぁ白けることが多いですけど、今回の妙子のセリフはすべてが心に響いて、何度聞いてもウルウルしてしまいます。
この世界は素晴らしい
子どもたちや若い人たちが、そんな風に思えるような世界にしていく義務が、大人にはある。別に大きなことをする必要はない。まずは自分がどうしたいのか向き合って、自分で人生の選択をすること。それって、自分を満足させる一番大切なことだと思うんです。自分が満足できれば、周囲にも目がいく。周囲に目線が広がれば、おかしなことをおかしいと言えるのではないか。言葉にできなければ、行動を変えたらいい。
私が今、周囲に流されずに決断を保留にしているのはインボイスとマイナンバーカード。どちらも、よくわからない制度をハイハイハイと流されるまま受け入れてしまったら、どんどん生きにくい世の中になってしまう気がする。だから私は反対の姿勢でいます。こんなちっぽけなことで世の中変えられない? そうだとしても、自分で納得できるまでは踏ん張りたいし、国が本性出してきたらそれこそ粘り勝ちかな?とか。現実はドラマほどやさしくないけどさ。
とにかく、最終回の妙子のメッセージは何度も聞く価値があるものだったし、初めのころのサスペンス風味の見せ方もハラハラさせられて面白かったよな。特別編も楽しみ!!
・キャスト・
脚本…鳥丸マル太
浜岡妙子/若菜絹代…若村麻由美
比嘉莉湖…木村佳乃
浜岡陽一…マキタスポーツ
育田詩乃…平 祐奈
浜岡あきら…中川大輔
蒼井 蛍…永瀬莉子
室井セシル…円位わん
西條隼人…時任勇気
国東統次郎…堺 正章
真由美…猫背 猫
桐山修太…菅原大吉
刃月恭介…椎名桔平(友情出演)
浅野俊徳…佐渡井けん太
安原光顕…西村まさ彦
水田夏雄…沢村一樹
主題歌…「what’s your message?」小田和正
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