第23週「ヤマモモ」114・115話
23週の予告を見たとき、今週は寿恵子の冒険が見られるかと期待したんです。
110話で妊婦寿恵子を見させられて落胆したので、余計に予告へのワクワク感がありました。なのに、蓋を開けてみたら、寿恵子が渋谷に降り立ったのが木曜で金曜には店がオープンしている。だけじゃなく「通のお人だけが知る新たな店」(by相島)になっていて、もう、何が何やら…。
なんで過程を描かなくなったのよらんまん界さんよ! え? どういうことなのよ。おい水口、水口、水口ぃ!!(悲しみのあまり、あまちゃん界を混ぜさせていただいております)
114話。
明治30年9月。そのころの渋谷は、東京市外に位置する農村地帯。町並みがあったのは、宮益坂と道玄坂のみだったそう。
「岩崎さまの知り合いが近くに空き家を持っているそうなの」という、みえの回想を挟んだところでねぇ…。みえ叔母さんが「旦那の夢、あんたが叶えてやるんでしょう?」と発破をかけたのが109話。それから4話も放ったらかしにして(ちょこちょこ商売のワードは出していましたけど)、ようやく渋谷に降り立たれても、みえが助言した「あんたも一緒に駆け上がってみなさいよ」の高揚感なんてとうに消えてるんすよ…。(マジで、どうして妊娠描写入れたんだろう。いや、妊娠中であっても渋谷を観察する寿恵子の描写は描けたはず。むしろ、ハラハラドキドキが増したかもしれない…。じゃあなんで4話も放ったらかし? あぁ、堂々巡り…)
住所を頼りにお店までたどり着いた寿恵子。そのお店の前には「荒谷」という居酒屋と飲んだくれの親父、否、店主の佐太郎がいて、渋谷界隈の話をしてくれる。(お寿恵、肝が据わっているというか、危機感が薄いというか…)
渋谷は「ここまで落ちてきてほかに行くとこもねぇしよ」という場所らしい。「女の働き口とつったら、弘法の湯くらいじゃないか」。そこだけは陸軍も来るし、大山参りのやつも集まるし、男がいりゃ女も集まる、とな。「荒谷」は畑仕事との兼業で(と言いながら昼なのか朝なのかベベレケ状態!?)、畑仕事を終えた人たちのために、握り飯も売っているらしい。
お店の周辺は藪蚊が多いが、ドブ掃除などはしていない言う。佐太郎曰く「てめえが生きていくのに精一杯」だからだ。
生きていくのに「妄想」って大事!
寿恵子はおりんに相談する。長屋周辺が、助け合いのない町だったらどうするかと。
「まず、妄想を話し合うかな」。
思い浮かべてごらん。北海道の開拓地に一人で行ったらって。荒野を見るだけで絶望。でも、誰かが居るなら、好き勝手に妄想ができる。何があれば幸せになれるかって。←人生においてとっても大切なことだね。
で、元気が出たら、やれそうなことを一つずつ。
その夜、万太郎との会話を思い出す寿恵子。
「よう監察したら、特性がもっとわかってくる。観察すればするほどますます面白いきの」
「観察」というワードは、らんまんらしくていい。これこれ! こういうのが見たかったわけ! 寿恵子は、竹雄から教わったことも思い出す。「まず周りをよう見て、この山は尾根か斜面か。林の中か開けた場所か」
歩いて、観察して、万太郎さんならきっとそうする。行こう、渋谷が私の横倉山になるまで。
115話。
早速、渋谷を歩いて観察する寿恵子の図ぅ。いいけどね、いいんだけど、やっぱりたった1話でそれを描くのは無理があったよ。
寿恵子は渋谷観察中に、お茶屋でとよ香と葉月に出会い、鍋島のお殿様が好物だというボーロというお菓子を教えてもらう(ボーロ、ワイも大好きや!)。それから、旅人と旅籠の人たちの姿、渋谷で相撲をとる軍人、その勝負に乗っかり楽しむ人々を見る。
…観察は以上ですってマジか! またまた時間経過してしまって、がっかり感ハンパねえ!!
11月。暦の上ではNovemberだよ!(しつこく混ぜるよあまちゃんを)
寿恵子は自作の渋谷の地図を万太郎に見せて、商いの話をする。(2カ月ぶりに会った寿恵子に甘える万太郎をかわいいと見ることは私にはムリ。お願いだからもう妊娠させるんじゃねぇよ! というのが正直な気持ち。マジで、金を稼ぐ気がないなら金を稼いでくる人の邪魔をしないでケロ)
この地図がまたいい出来で、それこそ、メモを頼りにその地図を少しずつ完成させていく寿恵子を見たかったものです。そこに、採集旅行中の万太郎の姿を重ねて描けば、夫婦2人で夢に向かって駆け上がっているように感じたのではないか? はぁ、つくづくもったいない。
だってね、おそらく寿恵子が開いた食事会のお品書き。それはきっと、渋谷を歩いて観察して、寿恵子がおいしいと思えるものを揃えたってことだと思うんだよね。視聴者が見たのは、握り飯と、お茶と、ボーロだけだけど…
映像ゼロでセリフで乗り切るのは無理がある…
次は、万太郎と子どもたちと虎鉄とで、渋谷のお店周りを大掃除の図ぅ。という状況なのに、店内は綺麗にリフォームされていて、人を呼んでいる!? しかもそのメンツが、弘法の湯の主人・佐藤を筆頭に、とよ香、葉月、佐太郎、と籠旅の人(←名前さえわかんねぇよ!)の5人なのはなんで? 「裏通りから食事会の知らせを寄越すなんざ」と言わせるなら、せめて渋谷を監察し続ける寿恵子を、佐藤が気に掛けるシーンくらい入れておこうよ…。
そんな、なぜこの5人なの!?状態なのに、寿恵子が妄想の話でプレゼンを始めてもさ、ついていけないよ。いや、おりんの助言を得て「妄想」でプレゼンしているのはわかっていますよ、でも心がね、動かない。せめて、寿恵子がこの5人を選んだ理由を描写しましょ? らんまんはそういう積み重ねができていた朝ドラだったと思うんですけどね…。
「この渋谷には、この町にしかないものがたくさんございます」。はい、これも同じ。渋谷にしかないものを、さっきサラッと見せられても心は動かない。こんな初歩的なこと、脚本家さんはわかっているはずなのに本当に何が起きたのか。朝ドラ終盤の宿命なのでせうか…。
渋谷にしかないものを「味わってもらえたら、わざわざ人が訪れる町になるのでは」ということで、町中で神輿を出す発想とはこれいかに!? いや意味はわかりますが、寿恵子が神輿を思いついたシーンはゼロでっせ! もっと言うと、らんまんで神輿の話なんて出たことないぞ。違和感がすごくて悲しくなるレベル。
「渋谷はあぶれ者の吹き溜まり」だったんですって。すごい田舎だと描写されていたけど、あぶれ者の吹き溜まり描写はなかった。何度でも言うけど、ここ最近のらんまんは必要な描写がとにかく足りん!!!!!
終いには、佐藤が「八幡さまに掛け合うだけ掛け合ってみるか」ってことに相成りましたが、八幡さんの映像もゼロ状態で、視聴者が一緒になって「寿恵子、よくやった!」となれるわけがない。
「おたくさん、何者だ?」
「私、槙野寿恵子と申します。この度こちらで、待合茶屋を開きとう存じます」
らんまんならではのキメ台詞も、なんだかなですよ。
そして、万太郎は店に守り神を置くことを提案。「この店を守ための木」は「誰からも愛される、寿恵ちゃんのような」ヤマモモ。←週タイトルですね、そうですね。これを回収とは呼べないな…。
で、また時間経過。しかも、どれくらい経過したかは明記されなかったけれど(土曜日おまとめ放送を見たら4カ月後と判明。いや、そんな大事なことは本編で入れてよ!)、店は冒頭で記述した通り「通のお人だけが知る」店になっているし、ヤマモモは立派に育って実がなっているし、相当の時間が経ちましたってことでファイナルアンサー???
リアタイ時はそんな雑さに辟易しちゃってたんだけど、これ、アレか。来週から子どもたちが成長しているんだな。さて、残り3週。早急に、本来のらんまんらしさを取り戻してケロ!!
・キャスト・
作…長田育恵
槙野万太郎…神木隆之介(通称神木きゅん)
槙野寿恵子…浜辺美波
槙野竹雄…志尊 淳(回想)
江口りん…安藤玉恵
山元虎鉄…濱田龍臣
笠崎みえ…宮澤エマ(回想)
笠崎大輔…東山俊也(回想)
荒谷カネ…梅沢昌代
荒谷佐太郎…芹澤興人
とよ香…入山法子
葉月…実咲凛音
小林一三…海宝直人
相島圭一…森岡 龍
佐藤 弘…井上順
語り…宮崎あおい
主題歌…「愛の花」あいみょん
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