日本の植物学は自らの足で立ち、新たな一歩を踏みだした!「らんまん」 

らんまんタイトル ドラマ率直感想!

第20週「キレンゲショウマ」100話

100話は「それは、日本の植物学史上に残る宣言でした」というナレーションで始まりました。
「西洋の植物学者諸氏に告ぐ」と始まったその宣言は、これまで遅れをとっていた日本の植物学が、欧米の基準に達したという宣言であり、今後は「日本人自らが自分で学名を与え発表すると、ここに宣言する」というものだった。

植物の名前を明らかにするために「いちいち」外国に標本を送る作業は、時間も手間も「いちいち」掛かって大変だなとは思っていたが、それは日本の植物学がまだまだ赤ちゃんだったから。かつて畠中先生も「我々はやっとハイハイを始めた赤子」だと言ってましたね。

そこから、田邊は、標本を集め、書物を集め、人を集め、植物学の基礎を育ててきた。

自分が見つけた草花に名前を付けたい。その発見者だけが、その学名に自分の名前を入れることができる。そしてその名は永遠に残される。けれど、諸外国を経由すると「マキノ」は「マキノイ」になってしまうことを、私たちは見てきた。

日本の植物学が、ようやく赤子から自分の足で立つまでに成長した。それを世界に発信するのは、田邊にしかできないことなのだ。

アバン後は、新しい植物の検定作業を進める万太郎と田邊の姿。田邊が考えることは万太郎も考え、万太郎が疑問に思うことは田邊も疑問に思う。重ねて描くことで、万太郎のifは田邊であり、田邊もかつては万太郎であり、植物学への情熱は同じであることが伝わる。
彼らは、志すものが少し違っただけ。
「この先は、果実を見てみないとなんとも言えんな」「果実の標本がいる」

ここで、田邊は現地の案内人を石鎚山に張りつかせて果実の標本を手にすることができ、元手のない万太郎は小さな子どもらもいて身動きが取れず、作業を一旦中断することに。そして今回大きかったのは、現地で田邊がその花を自分の目で見たことだろう。これって、田邊が政治仕事から解放されたからできたこと。物事の良し悪しなんて、ひとつの面から見てもわからないものですね。

明暗をわけた、とは思わない。今回は田邊に軍配が上がったけれど、きっとその差は紙一重。だからこそ、田邊も先の宣言が出来たのだろうしね。日本の植物学は、確実にレベルアップしているということだろう。

「このキレンゲショウマは、世界でも稀にみる特異な植物であり、この一種のみでひとつの属を構成する。新属新種である」。新種発見の宣言に盛り上がる教室の皆さまと、田邊への祝福。

静かにその喜びと興奮が表情に現れる田邊がまたいいのよ!「ありがとう、みんなありがとう」その言葉が、田邊の本心から出ているものだということが何よりもうれしい。

「野宮、論文用に植物画を描け。大至急だ!」「はい!」

熱い、熱いぜーーー! 野宮さん、田邊にキツく当たられることもあったけど、田邊がいたから腕を磨けたとも言える。もちろん、万太郎という才能を目の当たりにしたこともあるけれど、田邊のおかげで、絵だけで家族を養えたのはやっぱり大きいかなと。

学名は「属名も和名と同じく、キレンゲショウマとする」
Kirengeshoma turbinate Tnababe(turbinateは螺旋状にという意味だった)
ちなみに、モデルの方が名付けた学名は「Kirengeshoma palmata Yatabe」(palmataは、葉の形の掌上の意味だそう)でした。ドラマの中の植物名にも、配慮や芸のこまやかさが見てとれますね。

キレンゲショウマは東アジアの固有属で、日本人が最初に発表した新属になったのだそう。同じ植物を同時期に研究していた万太郎は、田邊の論文を見てから、深く息を吐き大きく伸びをする。

「おめでとうございます。田邊教授」
万太郎が田邊を語るとき、プラントハンター事件以降、目に光が宿っていなかったと思うの。だから、万太郎の田邊への気持ちがよくわからなかったんだよね。(多分、わざとだと思うけど)
でもこのときの万太郎には、目に光が戻っていた。田邊への感情はまだわからないけど、植物学の先輩への敬意を感じ取れた。万太郎の場合、先輩じゃなくて同士だと思っている節はあるけど、あいつ、図々しいからな!

う、海は危険だぁ…

田邊は聡子にも礼を伝える。
「お前のおかげだ、そばにいてくれたから」←それな!!!

もうすぐ誕生日だという聡子に、「何か欲しいものはあるか。アメリカではその人の生まれた日を祝福するんだ」。それまで日本では、誕生日を祝うという習慣がなかったのかな?

「1日だけ、あなたをください」←やだ聡子ったら大胆!!!
子どもたちが海を見たいと申しております。←う、海は海はやめとけ。聡子!!
「行こう、みんなで」←い、行くんかーーーい…

「海」にみぞみぞしているというのに、大学からわざわざ田邊宛に手紙が届く。
帝國大學理科大學教授及ビ教頭ノ非職ヲ命ズル

あのさぁ!!! 何度も何度も、田邊への不意打ちエグない? いくらなんでも田邊の心臓がもたないわよって思っていたのに、それだけじゃなかった! 徳永くんが留学から戻って来ているじゃないの! しかも美作なんかと喋ったりして!!

「なぜ、先に植物学教室に来ない」←そりゃ言うわよ!
「もちろん、今行こうと思っておりました」美作とはたまたま廊下で出くわしたらしい。もう、何が本当かわかりゃしない…。意地悪な脚本ですよね(うま過ぎか!)

それでも、田邊の肩をポンと叩いて(肩叩きっ!)美作が立ち去ると、徳永から田邊への感謝の言葉が出たのはよかった。あ、もちろん直接の言葉じゃないけれど「教授、私も世界を見て来ましたよ」というのは、田邊への感謝以外の何もでもないでしょう。教授として戻ってきた徳永は、大学での自分の立ち位置をよくわかっているんだろう。彼はそういう人物でしたね。

田邊もまた、徳永の手を包み込むようにして、目もしっかり捉えて後を託せたのはよかった。
「おかえり」。田邊も変わった。胸中はもちろん複雑だろうけど、自分の後に続く者が育ったことに対しては、単純にうれしく安堵した部分はあるだろう。

「植物学教室は田邊に代わり、徳永が教授となりました」

田邊は、通い慣れた教授室を後にする。キレンゲショウマの標本、胴乱を机上に残して。
徳永くんは、これから大学の政治にも関与していかなければならない。おそらく、田邊よりもずっとその立ち回り方を心得ているから、うまくやれるだろう。
だからこそ、バトンを渡した。
植物学と植物への情熱を決して忘れるな。標本と胴乱は、植物学を継ぐものへの大切なバトンなんだと思う。

ちなみに、海の件ですけど…。
土曜日版で予告を見ましたからね、覚悟はできています。なんならナレ死の覚悟をしちゃっていますよワシは。(でも、1ミリくらい裏切って欲しい気持ちありますーーー!)

・キャスト・
作…長田育恵
槙野万太郎…神木隆之介(通称神木きゅん)
槙野寿恵子…浜辺美波
大窪昭三郎…今野浩喜
波多野泰久…前原 滉
美作秀吉…山本浩司
野宮朔太郎…亀田佳明
田邊聡子…中村青渚
徳永政市…田中哲司
田邊彰久…要 潤
語り…宮崎あおい
主題歌…「愛の花」あいみょん

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