第18週「ヒメスミレ」89・90話
89話
久しぶりに綾と竹雄が登場し、しかも竹雄の「ズギャン!」が聞けたというのに、「幸せじゃ」なのがアバンだけ!?って聞いてないヨォォォォ!
それにしても、ロシア行きを決めた万太郎が「せめて、ロシアに渡る金だけでも」とサラリと言って退けて、慄いた。万太郎、峰屋はすでにお前には千円という大金を渡しているんだぞ…。「峰屋に金を借りるがは、これで最後じゃ」←否、信用できぬ!! 今こそ声をそろえて万太郎に向けて叫びましょう「峰屋は若の財布じゃない!!」
綾の念願だった新酒作り。親方に頼んで火入れをギリギリまで見極めてもらった結果、「風味が立って後味もさわやか」「柑橘のような」新酒ができた。けれど、それが原因で(とは劇中に描かれていないけど)、「火落ち菌」が出てしまった。酒が火落ち菌に汚染されると酸っぱい香りが出るんだとか。セリフ選びがいつにも増して鬼じゃない?(褒めててます)
「火入れのやり方を変えるだけでも、こんなに変わるがよ」。だからこそ、タキは頑なにやり方を変えなかったということでもあるよね。だからと言って、綾の挑戦を否すことはできない。変わらないこと、変えないこと、変わっていくこと。どの生き方も、間違ってはいないのだから。
「杜氏として申し開きもございません」と頭を下げる親方と、「私が…」と口にする綾に、「誰のせいでもない!」と言い切る竹雄が、峰屋にいてくれて本当によかった。「親方、変な真似は絶対に許しませんき」←志尊くんの言い方も佇まいも、素晴らしかったねぇ。
蔵で泣き叫ぶ綾を抱きしめる竹雄も、悲しいのに映像としてはとても素晴らしく感情の高低差! こちとら、こんなに悲しい綾呼びを待っていたわけじゃないのよ(泣)
綾と竹雄は、峰屋ののれんを下ろす決断をする。けれどこれで終わりではない。「金の算段をせんといかん。まだ終わっちゃあせん。ワシらの役目はこれからじゃ」
シャンとしい! あなたは峰屋最後の蔵元じゃ。目は瞑ったらいかん。最後まで見届けや。
庭に咲いていた二輪のヒメスミレを綾に渡す竹雄。ヒメスミレは、道端や草地に生える多年草。花言葉は「ささやかな幸せ」「ひそやかな愛」「愛」「誠実」「貞操」だそうです。竹雄と綾にぴったりのお花ですね。
場面が十徳長屋に変わったときは、場面手前に三輪のヒメスミレが。頭を垂れているような姿が、ずっと気にはなっていました…。そして「先生」って聞こえた時点でも変な気がしたのよ。産気づいたなら産婆さんだもん。だけど、まさか園ちゃんだなんて思わないじゃん…(史実ベースとはいえ、そこはスルーするかと思うじゃん)
「麻疹かもしれん」からの、表情を硬くしたえいと、こわばった寿恵子で覚悟はできましたけど。でも、聞いてないヨォォォォ!
90話
万太郎のモデル、牧野富太郎氏と寿衛さんとの間には13人!の子どもがいて、そのうち6人は早世または死産されているとのことでしたが、そこはなんとなくスルー展開かと思ってしまっていました。園ちゃんのお名前が史実通りだったと先ほど知って、それはもう「そっか…」って。その事実から逃げずにドラマに落とし込む、書き手の覚悟を感じた次第です、ハイ。
それでも園ちゃんは、愛をいっぱい受けとって生きていたんだなぁと思える映像が、悲しくて美しかったです。
「空が青く、ヒメスミレが咲く季節に、園子は空へかえっていきました。熱がでてほんの三日、まだ2つになる前でした」
綾の元には、豊治、紀平、伸治が訪ねてきていた。(「皆さんお越しで。こちらから伺いましたのに」というセリフがあることで、本来は綾たちが出向くべきだけどセットの都合で云々が消えるし、竹雄ならそう発言するはずだから違和感もない。いや、積み重ねって大事っすね!)
豊治が「ざまぁないのう」って言ったけどさ、そこには責める気持ちがないことが伝わるの、ブティック今野=菅原大吉さん、カッケーーッす!
「土地、邸を売るしかないと思うちょります。けんどもし、皆様方が手を差し伸べてくださるがやったら、生きながらえる道があるかもしれんき」そう言って、頭を下げる綾と竹雄。「うちの身代を次ぐんは伸治じゃ」と息子に返事を任せるところもまた、代々続く家業を守る生き方として正しいのでしょう。
「本家を助けるかどうか、おまんが決めや」
「……無理じゃ」
そうじゃち、こんなにでっかい鯨が沈んで行くいうに、ワシみたいな小舟、助けに出たところで、もろとも沈むき。せめてワシがもちっとマシな船ならよかったんけんど。ただでさえ、底が抜けちゅうき。…ごめんちや。
伸治に泣かされる日が来るとはね。いやもう、泣けっちゃったなーー。峰屋が抱えた負債のデカさもあるけれど、自分の力不足で助けられないと断ってくれる。だけど、伸治の手腕が足りないだけではなく、税金が重く課せられた酒蔵は、どこもアップアップなのだろう。
紀平が言う「槙野の家がもろとも途絶えるよりは、それぞれこの先を生き延びるほうがえいじゃろう。おまんら2人なら、やり直せるじゃろう。先祖の墓はワシらが守っちゃるき」もグッときたけど、やっぱり豊治の「綾」の言い方がタキを彷彿とさせて、綾と竹雄が一緒になってから、なんだかんだ言いつつ本家とよい距離感を築いていたのかなぁと。ま、ただの妄想ですが。
「綾、最後に言うちょく。おまんは、女の身で蔵元となった。けんど腐造は、酒屋である限り起こることじゃ。誰が蔵元じゃろうと、ワシじゃち起こったろう。けんどおまんは、この峰屋を殿様の酒蔵、峰屋のままで幕を引いた。婆様もご先祖も、さぞ喜んじゅうじゃろう」
竹雄から伸治への「お達者で」も、伸治から綾と竹雄への「達者での」も、いいシーン過ぎてなんかもう、なんも言えねえ! 「竹雄のくせに」もよかったな。
「万太郎にも詫びに行かせて」ということで、次週、綾と竹雄が東京に来る!?ようですが、どうなるのだろう。万太郎と寿恵子、竹雄と綾、それぞれが今、手紙ではなく顔を合わせて話ができたらどんなに励みになるだろうね。長屋の人たちが寿恵子たちと夕飯を共にしてくれて、普段通りに振る舞ってくれるのがありがたいねぇ。(丈之助の出番が少ないけど!)
万太郎は「園ちゃんの花じゃ」とヒメスミレの絵を何枚も描いて、お焚き上げ。
きっと、お空の園ちゃんのもとに届いたことでしょう。
・キャスト・
作…長田育恵
槙野万太郎…神木隆之介(通称神木きゅん)
槙野寿恵子…浜辺美波
槙野竹雄…志尊 淳
槙野 綾…佐久間由
豊治…菅原大吉
倉木隼人…大東駿介
倉木えい…成海璃子
及川福治…池田鉄洋
江口りん…安藤玉恵
紀平…清水 伸
伸治…坂口涼太郎
市蔵…小松利昌
ふじ…石村みか
牛久亭九兵衛…住田 隆
堀井丈之助…山脇辰哉
宇佐美ゆう…山谷花純
阿部まつ…牧瀬里穂
語り…宮崎あおい
主題歌…「愛の花」あいみょん
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